四季と言われて(平成26年4月11日)

学校で教わったのだろうか

一年には四季があることを

自然界は二で成り立っている

男と女

昼と夜

一年は夏と冬からできている

変わり目が春であり、秋である

ぶらんこを前へこぎ後ろへもどるように

冬が終り夏が来る

夏が終り冬が来る

季節はただ二つ

あなたとわたしのように

ふたりだけで世界は完ぺきだ

 

春はオープンカーに乗って(平成26年4月11日)

毎年のことだが暖かな日が続くと

決まって観光地でもある当地を

オープンカーが走る。

決まってサングラスをかけて。

そんなオープンカーを見ると

春が来たんだなと感じる。

ところで自分自身はオープンカーなど

とんでもない、と思うたぐいの人種だった。

雨が降ってきたらどうする?

ほこりが舞いこんでくるではないか!

じろいろ見られるではないか!

目にゴミが入るではないか!

もっともな理屈を言っていた。

あるとき、テレビが谷川俊太郎の

映像を映していた。

オープンカーを運転している!

驚いた。

やはり詩人はちがうんだ

遊び心があるんだ

そう思わないではいられなかった。

オープンカーを愛する人を

詩神は愛するのだ

だからオープンカーを運転しなくちゃ

 

桜は大木(平成26年4月7日)

若い木から老成した木まで

老若の桜が今ぞ盛りと咲き誇る。

老木になると幹が太くなるだけでなく、さらに回転が加わる。

驚くような存在感を放つようになる。

枝を含めると立体としては相当の空間を占める。

広い面積が必要だ。

急に食べ物の話になるけれど、

サクランボは花は桜そっくり、しかも実をつける。

人間にとってこんな都合のよい木は他にない。

詳しい人の話によれば、暖地という種類が

育てやすいそうだ。

 

 

地域ネコはどこへ(平成26年4月7日)

身重の地域ネコが姿を見せなくなって早くも3日目。

今頃、子ネコは生まれているのだろうか?

去年は4月になると姿が見えなくなり、7月に

なって、子ネコ2匹をつれて現れた。

乳をのませるため横向きに寝ている姿を

しばらくの期間、見ることができた。

猫も哺乳類なんだと感慨ひとしおだった。

今年生まれる子ネコは何色だろう?

 

10年と一日(平成26年4月6日)

園芸愛好家の知人からクリニック10周年の祝いの

花をいただいた。和花ばかりのめずらしい取り合わせだ。

人のすることはどんなことにも30年かかるという。

先輩の開業医から聞かされたのは、最初の10年で

基礎づくり、次の10年で屋根と壁を作り、最後の

10年で室内を作るのだと。

そうなんだ。まだ最初の10年を終えたところなんだ。

きょうも常緑樹の落ちた葉っぱ掃除をした。

ふしぎに心が和む。

低気圧の日(平成26年4月6日)

低気圧のせいで晴れたかと思うと突風が襲い、

雨がふるという天気。

日曜日だから、天候にもめげず、嵐山には

大勢の観光の人が訪れた。

絶好の日はないということを教えてくれる、

そんな一日だったにちがいない。

写真に写っているのは嵐山の中腹のサクラ。

手前は小倉山。そのあいだの川から

雨煙が立ち上がる。

 

ちょうど10年(平成26年4月4日)

10年前の4月5日、クリニックの診療の

最初の日だった。

今と同じように、桜が満開の時期で

嵐山の中之島公園では夜桜の

見物客が大勢ござの上でめいめいの

うたげを楽しんでいたことだろう。

その賑わいとはうらはらに

初日のクリニックの待合室は

人影もまばらで、時計の針の進みが

遅く感じられるほど時間を持て余した。

今夜は風が強く、ときおり雨が降り、

桜の花びらが吹き飛ばされている。

明日は晴れるだろうか。

 

学校図書館(平成26年4月1日)

ツタのからまっていない

あの建物は確かに

学校図書館だった

生涯のある時季

図書館通いを人はすべきものだ

しなかった後悔がおそいかかる

もう立ち入りできないのだが

想像せずにはいられない

椅子に座り

本を広げている自分の姿を

 

 

 

時は春(平成26年4月1日)

JR京都駅改札口

観光客

学生

生徒

子ども連れの家族

二人連

一人客

ありとあらゆる組み合わせ

後から後から人が出入りする

春は爛漫

 

私の目をひいたのは

改札口に向かいふりかえる人に

手をふりながら

涙をながしている婦人だった

旅立つ人の見送りのようであった

春こそは別れの季節

 

過ぎし年

1月 母が死に

2月 雪が神戸の町にふりしきり

3月 神戸発京都行き電車が

芦屋駅に停車したとき

鉄道ダイヤの

あまりの時間の正確さが

失われたものを思い出させた

春が来たとて

何うれしかろ