
今頃、どこの村の畑のあぜには
菜の花が咲きほこっているだろうな
黄色の花と淡い緑の葉が風に揺れているだろう
都会に暮らす者たちの食卓に
おひたしとなって
並べられる
その苦味、その春の香り
幼い子にも
苦味がわかるのだろうか
苦労多い父親は思うのだった

今頃、どこの村の畑のあぜには
菜の花が咲きほこっているだろうな
黄色の花と淡い緑の葉が風に揺れているだろう
都会に暮らす者たちの食卓に
おひたしとなって
並べられる
その苦味、その春の香り
幼い子にも
苦味がわかるのだろうか
苦労多い父親は思うのだった

マッチ棒を束ねたような
イソギンチャクの触手のような
不思議な形の野菜
これが一番好きな野菜

暖かい午後
風もなく ふらふらと歩いていたら
こんなレモンを見つけた
すっぱいので鳥は実をつつこうとせず
きれいな形でぶら下がっていた
この季節、かんきつ類が次々と産地から
都会のスーパーに届く
みかんのマーチみたいに
不知火(しらぬい)
清見オレンジ
甘夏
はっさく
甘くて さわやかで すっぱくて
ひととき
みかんのなかに我を忘れる

10年も前になるだろうか
京都市内の大学の講堂で講演会が開かれた
途切れ途切れに話を思い出す
切れ切れの話を書いてみる
「私は頭が悪いけど、アフガニスタンの現地語を
6つしゃべれます」
驚異的な頭脳、すばらしい言語能力の持ち主である。
それなのに、なんて謙虚な物言い。
「私はフランス人と現地では間違えられた」
これは笑いをとろうとして言っているのだろう。
「銃撃されたとき、運転手が失禁しました」
命の危険が迫ったときに言うセリフにしては
ユーモアを感じさせられる。
「家族がいなかったらなあ。もっともっと
できることがあるのになあ」
本音なんだろう。
あとは盲腸炎の手術をしているときの姿。
ちゃんと外科医もできるんですよとアピール。
いちげんさん お断り
紹介のない初めての客は入れません
そういう店のことを
いちげんさん お断り
というそうだ
ちょっと違った意味にもとれる
一回だけしか来るつもりのない人は
お断りします
何度も通ってくれる客
ひいきにしてくれる客
そういう客を求めています
って意味ではないかしら
しかし一度も行ったことがないのに
何度も通うことを先に約束するって
無理なんじゃないか
こんなふうにも思う
よく考えてみたら
学校とか会社とか
入ってみるまではわからないはずなのに
ずっと居続けることを先に約束するところだ
結婚だって
ずっと添い続ける約束を先にしておくものだ
人生とは
こういうものなのかな
さびしいでしょうね
食べ物に困ってるでしょうね
気楽でいいですね
自由でしょうね
まあどれも当たっているわけだ
川の字になって寝ている人もいる
一人降らしだって川の字で
寝られるんだ
右に犬
左にネコ
たしかに川の字だ
夜明けにはひとかたまりに
なってるんじゃないかな
平地を歩くならランニングシューズが一番
好きだ
地面を踏みしめる感覚
足の指の一本一本が地面をとらえてる感覚
これは革靴では感じられない感覚だ
そう
ランニングシューズを掃くと
走りたくなる
スポーツ庁の肩を持つ気はないけれど
はくならランニングシューズ
せめてウォーキングシューズ
背広にスニーカは動きやすさからは
ベストと思う
もっとカジュアルに
もっともっとカジュアルに
進む方向はいっそうカジュアルだろう
背広が博物館に陳列される日が来るだろう
背広の弱点はワイシャツとセットになっていること
ワイシャツを洗濯しアイロンをかける作業
この重労働をなくさない限り
背広はすたれゆくだろう
ワイシャツやネクタイや背広にかかる時間とお金は
一年間にいくらになるのかな
でも
ユニクロが将来の標準の服になるか
そうはならないと思う
まだ誰も思いついていない服装が
きっとあると思う
よほど好きならいいんだけど
あれは危険だね
走れないんじゃないかな
災害だってあるかもしれないし
逃げれないんじゃないかな
どういう風に吹きまわしか
ハイヒール姿を美しいと感じる感性が
なくなってしまった
今年の話題だったけれども
ハイヒールをいいという人の気が知れないよ