少女だったころの
この人には会ったことがない
どんな人も少女だったころの
しぐさや物言いを
いくつになっても忘れない
首をかたむけるしぐさや
手を動かすしぐさに
この人はいつも
こうやって
生きて来たんだなと
思う
長い年月
少女だったころの
この人には会ったことがない
どんな人も少女だったころの
しぐさや物言いを
いくつになっても忘れない
首をかたむけるしぐさや
手を動かすしぐさに
この人はいつも
こうやって
生きて来たんだなと
思う
長い年月
夏は来ぬ
旅をするなら
若いうち
あのころは
夏を暑いと感じたことはなかった
海や浜辺や襲いかかる宿題の山山
鈍感だったのか
熱中するものがあったからなのか
海を見ているだけで
浜を歩くだけで
なんともいえないうれしさで
胸がいっぱいになっていた
死が眠りなら
眠りは死だということになる
死は眠り
眠りは死
朝に目がさめるのは死から生還したことになる
そう目覚めは生還のこと
一晩の眠りのあと目覚めたら
一日分のサバイバルを果たしたことになる
明日の目覚めは約束されていないので
目覚めは奇跡である
一夜の眠りに続く朝の目覚め
一日分のサバイバル
最後に指切りをしたのはいつだったろう
最後に指切りをしたのは誰とだろう
何度も何度も指切りをしておくのだった
夕焼け空を振り返るように
いとし子をそうするように
いとしい人をそうするように
夕焼けを抱きしめてみたい
艸って漢字は何て読む?
くさ
って読むんだよ
ようく見てみると
くさがはえているかっこうをしている
カエル鳴き 眠りの底へ 沈みゆく
傘一つ 小雨を歩く きみとぼく
月曜日 仕事へ行き
火曜日 図書館に行き
水曜日 森のなか
木曜日 仕事へ行き
金曜日 畑仕事
土曜日 海浜を歩き
日曜日 思い出にひたる
おさない女の子が
母にてをひかれて
みちを歩いている
お母さん
わたしはいつまでも
手をつないでいたい
ずっとずっと
いつまでも
約束してね
手を放さないって
雨が近いのだろうか
風が吹く
やんだかと思うと
そっと風がしのびよる
父母が手招きをしている
早くこちらへ
おまえを待ってる
その目は悲しげにも
やさしげにも
見える
早くこちらへおいで