ニトリとユニクロ(2017年9月23日)

すっかり定着した家具メーカーが
ニトリだが、
会社名が創業者の名前にちなんでつけられたことは
意外と知られていないようだ。
ニトリが名前だと聞くと
似鳥か煮鳥かどっちだろう
こう思うだろう
正しくは似鳥の方である。

その一方でお家騒動でニュースに
しばしば登場するのが大塚家具で
こちらは高級路線だとかいう。

どちらが売れているか、勝負ははっきりとしていて
ニトリの勝ちである。
いつの日か
日本中の家具がニトリという日が来るに違いない
もう逆らえない流れなので
何を言ってもムダだろう。

それでも思うのは
何と味気ないことだろう。
日本中で 世界中で
家具はニトリ
服はユニクロ
個性の尊重だ 自由だ
と求めた結果が
この同一性

ひとはいくつになっても美しい[2017年9月21日)

こんな題名の本がある
実在の91歳のモデルが
書いた本である
カバーには著者の写真が
使われている
確かに題名のとおり

美しさは一面では
顔立ち、頭の形、髪の綜合で決まるのだろう
なかでも
頭の形がけっこう大切な要素ではあるまいか

それだけではないのが
人間の美というものの面白さである
表情
気迫

信念
偽りのなさ
心の反映が
美しさを感じさせる

小さな習慣(2017年9月19日)

コーヒー豆を電動ミルでひき
紙フィルターでこす
すっかり習慣に組み込まれて
体にしみついている
コーヒーがこぼれて
白いテーブルクロスにしみついたように

マグカップやたまにのむ紅茶茶碗を
洗うこともなぜか大好きだ

雨の日(2017年9月16日)

台風が近づいてくる
雨が朝からふりそそぐ
空はどんより
こういう日こそ
心までどんよりしてくるのを
こらえなければならない
こらえれるかどうか

見渡せば
この時期に落葉する木があり
その新緑が目にしみる
ガラス窓をふく人がいる
顔が写るくらいぴかぴかだ

安寿と厨子王(2017年7月2日)

山椒太夫に捕えられた
安寿と厨子王は勤めを命じられた
安寿は川へ行き水をくみ
厨子王は山へ行き柴を刈り

水で重たくなった桶を運ぶのは
足がよろけたことだろう
柴の束を背に負うのは
背骨が折れそうだったことだろう

比べものにはならないけれど
彼らの苦しさよりは
ずっとましだ

こんなことを自分に言い聞かせて
励む人があちらにもこちらにも
その数は無数

秘密の釣り場(2017年6月17日)

6月になり気温が上がり
アユ釣りが解禁される頃になると
決まって思い出すことがある

あゆ釣りの名人と言われる男がいた
休みの日
早朝から一人
秘密の釣り場へ出かけていく

大勢の友人が一緒に連れて行ってくれと
懇願するのだが
彼はかたくなに断り続けた
お前らにはまだ早いぞ

8月のある暑い日のこと
日曜日だったので
早朝から一人うきうきとした気分で
秘密の場所へ出かけて行った
そして帰ってきたとき
彼は生きている人ではなかった

川中で転倒し起き上がれず
溺死したのだった
残された妻と息子は嘆いた
お父さん
友だちを連れで行っていれば
あなたは助かったのに

当たらずとも遠からず(2017年6月17日)

父の口癖の一つが
当たらずとも遠からず
だった

小学校5年生の一年間
毎夜毎夜3時間
父から勉強を習っていた

質問されて答えると
しばしば
父はこう言うのだった
当たらずとも遠からず
正解ではないのだよ
しかし
まったくの間違いではない

そこで再び考えをめぐらして
答えを言う
再び
当たらずとも遠からず
そんなやりとりが
何回も続いて
正解へといたるのだった

何度も答えを探しているうちに
思考力が命を帯びたように
いきいきと動き始める
父はまた言うのだった
やっと油がのってきたな
勉強を始めてから
1時間も2時間もすぎて
ようやくにして
本気になるのだった

やる気(2017年6月4日)

どこにあるの?
私のやる気は
探し求めてさすらいの旅
日が暮れ夜が明け
早くも季節はめぐりゆく

先払いのレストランのように
先に見せるもの

先に行動を起こせば
やる気があとからついてくる
そうなれば
しめたもの
やる気がぐいぐいと君を引っ張っていく

やる気ほど誤解されているものはない