春野菜(2018年4月14日)

外は真っ暗

外は雨

こんな風雨の夜に

屋根と壁に守られて

何の文句があるものか

 

えんどう豆 インゲン豆 さやえんどう

豆野菜の苦さと甘さ

ほうれんそう みずな

葉物野菜の苦さと甘さ

春はこんなふうに

苦くそして甘く

生きとし生けるものに

苦さだけではないことを

甘さだけではないことを

示すのだ

 

ありふれた朝食(2018年2月17日)

ピーマン2個に

玉ねぎ半個

オリーブオイルでいためて

塩をふる

できあがるのは

ねっとりとそして甘い味わいの

二人分の野菜料理

ありふれた朝の

ありふれた朝食の一品だ

きょうが平凡な一日であることを

予感しながら

ありふれた朝食の時間がすぎていく

きょうという日が

特別な一日にならないことを

言葉にならないような言葉で

願っている

 

『ローマの休日』(2018年2月10日)

これほど有名な映画を見たのは

最近のこと

そうは言っても父が生前のこと

「初めて見るなあ」と言うと

父はこう言った

「おまえは勉強に忙しかったから

見るひまがなかったんやな」

憐れむかのような口調で

実際いつも追われるかのように

勉強していた

頭のいい人なら短い時間ですむものを

 

グレゴリー・ぺっくはいい俳優だな

ほんとうに

王妃に惚れていたにちがいない

演技ならああはできないな

 

 

 

 

 

乗り物酔いの次の日(2017年11月3日)

頭は重く胃も重く

つらい朝を迎えた

ちょっと身の置き所がない感じで

庭の落ち葉集めをすることにした

10月の台風が杉を揺さぶり

枯れた葉を大量に落としたのだった

作業をしては一休み

一休みしては作業を

繰り返すうちに夕方が来た

ようやく頭や胃が普通に戻ったのだった

 

 

乗り物酔い(2017年11月2日)

島根県松江市で開かれる学会に出席することになった

新幹線で京都から岡山へ

特急で岡山から松江へ

どうってことない時間と距離なのに

頭痛がだんだん強まって

帰り道では頂点に達した

乗り物酔いは苦しいものである

とくに特急に乗ると

決まって起きる

こんなわけで

京都から特急に乗って行くところは

天橋立も金沢も和歌山も

二の足をふんでしまう

そういう問題じゃなくて(2017年11月1日)

台風のあと
青空に雲がくっきりと浮かぶ
風とともに
とある男が舞い下りて
こんなセリフを言い捨てて
また風とともに失せていった

背が高いだって
それがどうした

背が低いだって
それがどうした

はげてる
ふとってる
目が小さい
それがどうした

そういう問題じゃなくて
じゃあ
何なのさ

力をつくして生きること
力のかぎり生きること

風神(2017年10月30日)

風は神がおこすものと
信仰されていたころ

雷もまた神がおこすものと
信仰されていた

いつしか信仰が薄れゆき
木枯らしが数えられるものとなり
下界の現象とみなされる

本当は今も神が風をつかさどる
道端を
庭の片隅を
吹き抜けて現われわたる
今朝の青空

木枯らし1号の吹いた今朝
神がいたるところに満ち満ちていた

よくばり(2017年10月28日)

あれがほしい
これがほしい
そんな貪欲さはないつもり
けれど
愛されたい
好かれたい
そんな貪欲さがわたしの中には
ある

それが夜ごと日ごとに
襲いかかる
人ってみんなこんなだろうか
学校へ行くと
天真爛漫な生徒たちに
見抜かれてしまう

一日
家にいて
飼い猫とじゃれていたい