腕回り(平成27年12月12日)

昔々の恥ずかしい思い出である

母の友人が近所の誼で

よく話しに来ていた

腕回りが太く

わたしと妹はいつも

「あのおばちゃんの腕太いなあ」

としゃべり合っていた

ある時

いつものように話し込んでいる

そばに行って

「おばちゃん 腕回りを測らせて」

嫌がりもせずに腕を測らせてくれた

私と妹は「やっぱり太いなあ」と

感嘆したのであった

 

ずいぶんと失礼なことをしたものだ

無邪気で鈍感で愚かきわまりなく

なんと性悪な兄妹であったことだろう

 

 

ライトアップ(平成27年12月12日)

冬の夜

輝きに惹かれて

街を歩いてみた

木々も建物も

趣向を凝らした明かりに照らされ

昼間と同じ街とは思えない

 

海を思い出した

暗くさみしく波音が聞えて

きびすを返して

立ち去るだろう

あの懐かしい海なのに

 

ライトアップされないもの

そして

われらの心の内奥

 

 

詩集『四季』の注文のしかた(平成27年12月7日)

昨日、発行のお知らせをしたところです。

本日は注文のしかたをお知らせします。

本ブログ読者で『四季』を

注文なさりたい方は、

・82円切手8枚を郵便にて

お送りください。

・宛先:〒616-8421

京都市右京区嵯峨釈迦堂門前瀬戸川町4-8

嵯峨嵐山・田中クリニック

・また送り先の住所、名前を記入しておいてください。

・本体が500円、封筒+送料が156円です。

到着から1週間程度で送ります。

万が一遅れた場合はご容赦ください。

詩集『四季』(平成27年12月6日)

 

 

 

 

 

 

編集作業から1か月ほどして仕上がりました。

超スピードです。

本日午後、クロネコヤマトのクール宅急便の

クルマが止まり、

肩に段ボール箱一つをかついで

「重たいですよ」と言いながら、届けてくれた。

60頁足らずの薄い冊子ですが、

220冊分だと相当の重さになります。

もう冬ですし、生鮮食料品ではありませんから

クール宅急便扱いするのはどうかと思いましたが、

クルマがそういうクルマだったというだけのことで

冷やして配達したのではありませんでした。

ご希望の方にはお分けしたいと思います。

まだ価格、送料などが定まらないため

明日以降のご案内になります。

夢を何度語ろうとも(平成27年12月6日)

いつも行くクルマ修理屋のオヤジが

こんなことを言っている

夢を持つことは簡単だ

希望を語ることは簡単だ

難しいのは忍耐力を持つことだ

忍耐して前進することが

難しいのだ

 

たいていの者は夢を語ったとたんに

くじける

くじけるだけならまだましだ

くじける

いじける

意地悪になる

いいことなしだ

そんなやつらは黙ってろ

 

 

木枯らし(平成27年12月3日)

木枯らし吹きすさぶ高台の町で

あの娘はコートの襟を立てて

歩いているのだろうか

 

舞い散る葉さえも

落としつくした木々の枝の

何という不定形

この世界そのままの不定形

 

寄り添いたくなる

高木の根元に

しばし立ち尽くし

空を見上げているのだろうか

あの娘は

 

黒みがかった海面を

波立たせる風

その同じ風は頬をいっそう冷たくする

 

せめてあの娘の心の中では

木枯らしが吹き荒れないように

すさんだ心にならないように

 

木枯らしに祈る朝だった

 

書店に直行(平成27年12月3日)

夜道を歩いていると

なぜか

ワーズワースにキーツ

英国詩人の作品を読まねばならぬと

がぜん思いこんだ

オンライン書店で買ってはだめだ

図書館もだめだ

書店へ直行しなくては

書棚を探し

見つけなくては

新品の本で詠まなくてはならない

彼らが心血をそそいで

訴えたかったもの

今すぐに

詠まなくてはならない

 

 

非日常(平成27年12月3日)

ボーナスから12月は始まり

うち続く忘年会で興奮は高まり

理性を失わないほうが不思議

 

中休みもなく

非日常の興奮はいやがうえにも高まる

 

天皇誕生日

クリスマスイブ

クリスマス

3連続の祝祭が待ち受ける

まだ終わらない

非日常はさらに強まる

大晦日

元日

三が日

除夜の鐘つきが終わると

群衆に溶け込んで初詣

怒涛のような興奮がうずまく

希望と夢と(平成27年11月29日)

草花の種や球根

樹木の苗を見るとき

花開いた姿をありありと

思い描き

希望と未来を

種と球根また苗に感じとる

 

春4月

新しい教科書や辞書またノートを

前にして

獲得した知識と技能を駆使して

世界を理解し世界を歩む自分の将来の姿を

思い描く

 

まことに希望とともに人は生きる

けれど希望という字の

ことに希という字の

このあはれさは何としたものか

希とは稀(まれ)なこと

希望とはめったなことではかなわないのだよと

言い含められているに等しい

夢という字のはかなさよ

儚い(はかない)という字を見てごらん

 

 

人が携えて生きるもの

それは

希望ではない

夢ではない

必要なものは忍耐力

 

両腕を広げてもかかえきれないほどの大木も

産毛のような柔らかな苗から育ち

九層の塔も一すくいの土から建ちあがり

千里の道も一歩から始まる

老子