ある守銭奴(平成26年12月21日)

とある町のうら若き女

自他ともに認める守銭奴だった

着ているパジャマは

10年以上の年代物

袖口襟元擦り切れていようが

どうぜ寝間着よ

誰に会うでなし

カレーライスを食べるとき

混ぜたりせずに

ルーから食べていくので

皿は汚れず水も汚さず

まことに合理的

働くとなると

懸命に働く

人に対しては愛情深く接するので

誰からも気に入られた

この人物に言わせると

人は金

タイム イズ マネーではないのだ

ピープル イズ マネー

私は金が好き

私は人が好き

だから誰に対しても

心をこめて接するのだった

ここまでくれば

見上げたものだよ

守銭奴のお嬢さん

眠り(平成26年12月21日)

不思議な現象である

知らぬ間に眠りについて

気がつくと目覚めている

意志もいらず準備もいらず

眠りがやってくる

やってきた眠りは

朝には去っていく

日に照らされて

消えていく朝露のように

 

暗闇のなか

目覚めていることのつらさ

そのつらさから逃れられるように

眠りが与えられているのだ

 

手招きすれば逃げていく

知らぬふうをしていると

寄ってくる

眠りは黒ネコに似ている

 

 

沖縄の夜は寒かろ(平成26年12月17日)

風が道路のほこりを舞い上げて

ポリ袋が飛ばされていく

こんな強風の日には

沖縄も寒かろ

海から冷たい風が島を軽々と

渡っていく

こんな夜には沖縄も寒かろ

なんと本日の最高気温は15度

当地の住民にしてみれば

思わず背をすぼめるほどの冷えようだ

まして日暮れがくると

沖縄の夜は寒かろ

 

地域ネコ行進(平成26年12月12日)

いちに いちに

地域ネコが早朝から行進する

きょうは会議があるらしい

家ネコがこたつで寝ている頃

寒風ふきすさぶ中

いちに いちに

地域ネコは行進し会議を開く

あのな

今度からな

12月はな

師走というのはやめてな

ネコぱっしり

いうことにしような

そう猫走

関西弁を話すねこの会議で

こう決められたのだった

その頃

電池を買いに

コンビニへひた走る男がいた

猫走12日の朝のことであった

きょうはバッテリーの日なのであった

 

あてもなく(平成26年12月11日)

なんの役にも立たないけれど

砂浜をひとり歩いてみたい

どこへも行きつかないけれど

あてもなく

砂浜をひとり歩き続けてみたい

思い出の一シーンや忘れれられない言葉の

断片が浮かんでは消え浮かんでは消えていくだろう

浜辺に打ち寄せる波に合わせて

虹(平成26年12月10日)

3歳 虹を指さして

にじと言えた

5歳 虹を見ては

駆け出した つかめると思っていた

18歳 虹を

忘れてしまった

20歳 きみがきれいな虹を見たと言った

22歳 虹を見るたび

きみを思い出すのだった