ボールペンには水性、油性と
あって、なんとなく
水性を使っていた
たまたまもらったボールペンが
油性で
使うと
色は黒々、なめらかに
ペンが走る
なんだ食わず嫌い、使わず嫌いだったんだ
これからは油性で行こう
ボールペンには水性、油性と
あって、なんとなく
水性を使っていた
たまたまもらったボールペンが
油性で
使うと
色は黒々、なめらかに
ペンが走る
なんだ食わず嫌い、使わず嫌いだったんだ
これからは油性で行こう
水と油は溶けない
言うずと知れた当たり前のこと
いつもの喫茶店では今日も
シニアの男ふたりが
暇でたまらんという顔をして
しゃべりあっていた。
おい
知ってたか
もし油が水に溶けたらどうなるか
いや知らんな
そうか
じゃあ教えてやろう
細胞ってあるよな
細胞は油の膜で包まれている
中は水たまりだ
膜が水に溶けたら細胞がつぶれてしまうんだ
なんだか難しい話だな
ふとした出来心
誰にもあるそんな出来心から
アカシアの蜂蜜を買った
とんでもない美味に
驚くことになった
アカシアに雨が降る
悲しい歌があった
誰の胸にも秘められた
悲しい歌がときには
耳に響くのだ
透き通った淡い薄黄色は
物思いに人を連れ出す
朝のひととき
今日もカンカン照りだ
空にはくっきり入道雲
底が黒いので一雨来るかもしれない
空に天使がいるのなら
地上にいるわれらもまた天使ではなかろうか
広くないうちだった
せまいうちだった
ある日、友達の家に行くと
部屋の隣に部屋があり
そのまた隣に部屋があり
広いうちだった
帰宅すると余りの狭さに目がくらみそうになった
それでもきれいに片づけられ
よけいにせまさがめだった
お気に入りの場所が
あった
洗面所だった
そこへ行き、泣いた
いつも泣きたくなると
洗面所へ行き、鏡の前で
泣いた
父に叱られて悲しくなり
洗面所に向かった
勉強をみてもらっているのだが
わからないことを叱られ
がまんができず悲しくなる時
洗面所に行き、泣いた。
泣いたあとはまた机にもどり、
今度はなんだか、気持ちが晴れ晴れとして
さっきまでわからなかったことが
わかるのだった
小学生のあの頃の日々
けんかの法則というものがあって、
最近、聞いた話だ
けんかをする両方ともがけんかはしていいものだと
思っているとき
両方ともが自分だけが正しいと
思っているとき
自分の考えていることは正しい
自分お言うことは正しい
間違っているのは相手だ
正しいことを言うことはいいことだと
思っているとき
ことわざに言うではないか
言者 不知
知者 不言
たばこがなかなかやめられない人が
こう言った
「意志が弱くて」
やめようという意志が弱いので
やめられないと
けれども反対に考えると
吸い続けようという意志が強いのだ
とも言える
ただ意志の強さを向ける先がちがうわけだ
やめようとする意志は弱い
吸い続けようとする意志は強い
田辺聖子さんのエッセイ集はたくさんあって
『ラーメン煮えたのご存じない』が一番印象に残っている
「いもの煮えたのご存じない」をもじったタイトルである。
その中に
「あほとがんこ」という題のエッセイがある。
あほだからがんこになるのか
がんこだからあほになるのか
どっちだろう?
まあこんな話である。
こんな生徒がいた
昔話を語りたくなった
中学一年生
真新しい学生服を着て
さあ何をしたか
隣りの生徒とけんかした
黒板消しの道具を持ちあい
互いにたたき合いをした
黒い学生服の上着はチョークのかすで
白くなってしまった
冷静というか冷めているというのだろう
この生徒はかく語った
「おれは勉強は嫌いなんや
しかし勉強はするんや」
時は流れ時は過ぎて
高校3年生
隣りの学校の女子生徒がみな
ふりかえるほどの美少年になった
時は流れ時は過ぎて
東大のキャンパスを長い髪をして
さっそうと歩いていた
それが私が彼を見た最後である
今もきみは美老年だろうか
日暮れは毎日数分ずつ早まる
夜明けもまた毎日数分ずつ遅くなる
8月7日の立秋を過ぎると気温がわずかに下がる
お盆を過ぎれば気温はさらに下がる
目には見えないほどの小さな変化が重なっていく
そして秋が来る
人もまた同じ
今日練習したからといって変化は感じれない
今日けいこをしなかったからといって変化は何も感じれない
けれども
練習の日々が積み重なり大きな変化を作り上げげ
けいこしない日々の積み重なりもまた同じ