そこは小さな3歳までの保育園
3歳になるこどもが巣立っていく
きょうは小さな卒園式だ
3年間の苦労を思い出し
失われていくものに涙する親と
次に進む保育園に思いを寄せるこどもと
まなざしは反対方向を向いている
手をつないで門を出る親子に
三月の陽射しがそそいだ
そこは小さな3歳までの保育園
3歳になるこどもが巣立っていく
きょうは小さな卒園式だ
3年間の苦労を思い出し
失われていくものに涙する親と
次に進む保育園に思いを寄せるこどもと
まなざしは反対方向を向いている
手をつないで門を出る親子に
三月の陽射しがそそいだ
雲の真白に心うたれて
雪の真白をなつかしむ
きょうはもう
春がそこまでやって来た
色とりどりの花よりも
花は白
つぎつぎとはなびらひらく
梅の真白
きょうはホワイト・デイ
昔語りをしたいときが誰にもある
得意の日々の数々を
失意の日々の数々を
誰に向かってするのか相手を
慎重に選ぶがいい
そうすれば語りは生き生きと動き出す
しかし語りすぎることなかれ
人は未来に向かって生きるもの
未来の話しを好むもの
それは人の習性だ
習性にさからうことはむずかしい
得意の日々の数々を
失意の日々の数々を
君語りすぎることなかれ
気温が上がり、いよいよ春の到来を確信した
そんな午後の暖かさと空の美しさだった
今年の春はプリマべーラと呼んでみたい
プリマベーラ、プリマベーラ、プリマベーラ
スプリングよりもずっときれいな響きだ
6音と長いことがかえって春と短く2音よりも
重厚さを感じさせられる。
到来よりも離陸と言いたい気がする
飛び上がろうとして、何度も離陸に失敗する飛行機
今年の春はなかなか来なかった
離陸はテークオフでこれは英語
プリマベーラのテークオフ
来ると思わされて何度失望させられたことか
きょうは本物だ
プリマベーラのテークオフ
イタリア語、日本語、英語の
めちゃくちゃな組み合わせ
狂ったような春の喜び
外来語が日々日本語として定着していく。
それを妨げることも、推進することもできないわざである。
耳がとらえ、唇が発する、その一瞬の淡さの中で
言葉が選ばれる。
冷蔵庫、掃除機、電話、蛍光灯
電気釜、携帯電話、家、犬、猫
英語やフランス語やイタリア語に置き換えられない
健闘する日本語の一例である。
蚊は英語ではモスキート
かと一文字で言えるのが、5文字にふえるわけだ
モスキートにさされた、など言う日は
なかなか来そうもない
きょう、実に美しい婦人がクリニックに
訪れた
外は雪が舞って、3月にしては
冷たく空気が澄んでいた
定期的に美神は訪問するのだが、
きまっていつも雨がふる
いつも激しく風がうなる
自分は雨降り女なのと言うのだが
雨こそは植物の恵み
雨フラス大御神は地震も招くとのたもう
美神の結婚式・披露宴の最中
震度5の激震が起きた
せめて微震にしてほしかった
着古した上着が
2着、3着ハンガーにかけられている
着古した服ほど
いいものはない
よれよれになった上着を
ハンガーから
取り出して、来ては出ていく
帰り来れば、ブラシでほこりを
はらってハンガーに戻す
着古した服ほどいいものはない
声も出ないくらい悲しいことが
あった日も
帰宅すれば
家の中は古食卓、古椅子、古箪笥
古い物は私そのもの
心配なしで生きるすべを
身に着けないといけない
想像していた未来が
現実になり
そして過ぎ去った思い出になる
人はつごう3つの次元を生きる
心配なしで生きることができると
信じないといけない
思い出を作るために
人は生きる
忘れられない思い出があり
忘れてしまいたい思い出があり
忘れ去った思い出もある
三つともたいせつに
記憶するために
記念日が定められ
記念日ゆえに
忘れ去られていく
人の心はそんなもの
実際、一年に一回だけ
思い出せばいいのなら
残りの日は忘れて暮らせば
いいわけだ
記念日とは忘却装置に
ほかならない
一日たりとも忘れないことを
人は記念日にしたりはしない
ほら君の胸にもあるだろう
忘れられない思い出が